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木質の偽造ペレット工場

東方の二次創作SSです。いぢめ・グロ注意

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添い寝

メインキャラクター:フランドール 名無しキャラ

【 story 】
紅魔館が崩壊し、フランドールが競売にかけられる
彼女を落札した先は・・・
※名無しキャラ注意。






人と妖怪でひしめく巨大な会場
そこで彼女は生まれた姿のまま壇上に立たされていた


右から左に首を回して会場を一望する
小さなプラカードを持った者たちが大声で数字の羅列を叫ぶ
ここはオークションをする場なのだと理解した
競売の品はどうやら自分自身らしい

目の前で繰り広げられている現実が、まるで他人事のような、ひどく遠くの出来事のように思えた
起きたばかりで意識が覚醒してないのか、薬でも打たれて朦朧としているのかは自分自身でもわからない

曖昧な頭で自分がなぜこんなところにいるのかと記憶を辿るが、まったく思い当たらない
『気がつくとココに居た』というのが最も適切な表現だった
予想できる事としては、紅魔館が崩壊したか、自分だけが拉致されたかの二つ
そう考えてすぐ、後者は切り捨てた。もしも非合法な手段で自分がここに連れてこられたのなら、こんな立派な会場は使用できない
となると紅魔館が崩壊したと考えるのが自然だった。姉はときどき好奇心に身を任せて、後先を省みず物事に取り組む節がある
そんな姉が嫌いではなかったが、どこか危うさも感じていた。それが今回、現実になってしまったのだろうか

「どうでもいいや」

自分の唯一の居場所である紅魔館が終わったというのに、危機感も悲壮感も沸いてこなかった
地下に幽閉された495年。その後、姉が起こした異変がきっかけで人間と知り合い、幽閉から軟禁に待遇は切り替わった
しかしそれからも変化の無い日々が続き、異変やイベントではしゃぐ紅魔館の住人を遠巻きに眺める日常を送っていた
姉たちが腰掛ける“紅魔館”というテーブルに今更座りたいという気にならなかったし、姉も積極的に自分を加えようとはしなかった
仲間はずれであることに、別段、不満も焦りも感じていない
期待や羨望。寂しいや退屈。嬉しいや悲しい
そういった生物らしい感情は、地下で過ごているうちにどこかに行ってしまっていた
探そうにも何所にあるのか皆目見当もつかない




気付けば複数の男たちの手によって自分は床に座らされ、股を開かれていた
沢山の視線が自分の秘所に集中する
大衆の前で自身が最も見られたくない場所を見られているはずなのに、何も感じなかった
そんな自分はどこかが壊れているのだと再認識した頃、木槌の音が会場に響き渡った

自分の所有者が決まったのに、やはり微塵の興味も湧いてこなかった






オークションが終わり
ジェラルミンケースに詰められて運ばれた先は、和風の大きなお屋敷だった
到着してすぐに白地の着物を着せられた
着物は羽が外に出せるように背中の部分の布が一部取り払われている飾り気の無いデザインだった
着替えが終えると、両手を頑丈な皮ベルト一括りにされ、手の自由が完全に奪われた
それから連れられた先は、敷地の中に建てられた頑丈な造りの蔵だった。時間帯は夜で、移動の際は幸い日光を気にせずに済んだ
(地下の次は物置か・・・)
蔵の中、入り口から一番遠い壁に誘導される。座布団が一枚置かれた場所があった
「ここに座って壁に背中をつけてください」
この屋敷に仕える女中がやんわりとした口調でそう頼んできた

ジェラルミンケースを開けたのも、フランドールに着物を着せ、皮ベルトで手を拘束したのも全てこの女中が一人でやったことである
紅魔館のメイド長と同じ年代に見える、まだ少女と呼んで差し支えのない容姿だった
他の人間をまだ見ていないが、時おり家屋の中から気配を感じるのでそれなりの人数はいるようだ

その女中に言われた通り、壁に背中を向けて座った
「失礼しますね」
「ん・・・」
壁には鉄製の小さな輪が二つ付いていた
鉄の輪はまるで手錠のように開閉して、フランドールの羽の付け根を固定した
付け根に冷たい鉄の感触が伝わる。大きく体を動かそうものなら付け根に金具が食い込んで激痛が走ると理解できた
「しばらくこのままご辛抱ください」
次に女中は、天井から下がる紐をフランドールに持たせた。女中は「紐」と言ったが、それはロープと同じくらいの太さと強度を持っていた
手を拘束する皮ベルトは指先まで覆っているため、親指で挟むようにして紐を握る
握った紐から上向きに引っ張られる力を感じたので、紐の先を目で辿った。天井に付いた滑車を経由して、壁の穴から蔵の外に続いている
彼女の視線で察したのか、女中が説明する
「この紐からは手を離さないでください」
「どうして?」
女中はフランドールの傍らにある。機械を指差した
「電灯?」
それが周囲を照らす装置であることがわかる
「そうです。今はまだ電源が入っていませんが。この紐と連動しています。紐が30cmあがると点灯します」
「点灯したらどうなるの?」
「この電灯は特殊で、紫外線を発して辺りを照らすんです」
「えっと、それって・・・」
彼女にとって太陽の光と紫外線は同等だった
「ですから決して離さないでください」
「なんでこんなことをするの?」
「旦那様の御意思です」
「だんなさま?」
自分を落札した人物のことだろうかと予想する
「またお時間になりましたらお呼びいたします」
大した説明もしないまま、深々と頭をさげてから蔵から出て行った


蔵の窓はすべて閉ざされており、女中が戸を閉めると完全な暗闇だった
夜を生きる吸血鬼である故に目はすぐに闇に順応した
蔵の中を見回してみた。中の広さは紅魔館の客室の倍程度だとわかる
物置のわりに物は殆ど置いておらず、殺風景さでいえばかつていた地下室と良い勝負かもしれない
ホコリやカビ臭さは感じず。板張りの部分には最近雑巾をかけた跡があり蔵全体は小奇麗な雰囲気だった
次に親指で握る紐を見る
「・・・・・」
おもむろに手を離した
「ぁつッ!!」
点灯したライトに全身を照らされ、熱湯をかけられたような痛みが襲う
紐は30cmあがった位置で止まり。それよりも上、フランドールの手の届かない高さよりも上になることは無かった
慌てて引き、明かりを消した
「痛たたた・・・・・・重りか何かがこの紐の先端にあるのかな? 下がった重りの下にスイッチみたいなのがあって・・・・・・」
痛い思いをしたが、今ので紐の仕組みはある程度理解できた

それからフランドールは、あの女中がやってくるまで紐を握り続けることに専念した







待てども待てども女中はやってこない
「遅いなぁ」
正確な時間まではわからないが、半日は軽く経っている
その間に14回、気を抜いた拍子に手を緩めてしまい肌を焼かれた
退屈という気はしなかったが、同じ姿勢を長時間維持するのは非常に筋肉に負担がかかり、疲労の色は隠せない
(この紐が握れないほど、疲れたら。どうなるんだろう)
紫外線に触れることを恐れる吸血鬼の本能が、彼女の不安を煽った
「それにお腹すいた」
会場で競に掛けられたときから何も口にしてない。くぅと腹が何度も鳴っている
吸血鬼にも体力の限界はある。握ったままの親指も痛くなりはじめていた







「お待たせしました。電灯の電源は消したので、もう紐から手をお放しになっても大丈夫です」
蔵の扉が開き、あの女中が姿を現した。彼女以外の人間はいない
背中の金具が外された
「立てますか?」
「無理」
凝り固まった体中の筋繊維が彼女の自立を邪魔した
女中に起こされて、なんとか立ちあがり屋敷の中に移動する。空を見上げると三日月が薄っすらと輝いていた
一室に案内されると、そこで皮のベルトが解かれて膳が出された。女中が気を使い、箸の替わりにフォークとスプーンを用意してくれた
「膳にはこの屋敷で働く使用人の血が含まれております。血の量が足りないと感じたら仰ってください。使用人の数は多いですから量はいくらでも増やせますので」
そんな話など耳に入らなかった。空腹から貪るように食べた
女中は行儀の悪さを一切咎めず、食べ終わったのを確認してから再度同じ説明をした
その後。厠、風呂場の順に移動して体の不浄を清めると女中は新しい着物を持ってきた
「こちらにお着替え下さい」
いま着ているのと同じデザインの着物だった
デザインこそ同じだが、先ほどよりも生地が薄く寝巻き用なのだと、袖を通してみてわかった
「では参りましょう」

最後に通されたのは、襖の装飾が他よりも若干豪華な部屋の前だった
「ここは?」
「旦那様の寝室でございます」
そう告げてから女中は襖を開けた
「どうぞ、お入りになって下さい」
中に入るよう促した。遅い足取りでフランドールは部屋に入るとすぐに襖は閉まった
見た目の豪華さとは裏腹に中は8畳ほどの広さだった
行灯の明かりだけが照らす部屋、一人の男が布団の上に座っていた
中年と呼ぶにはまだ若く。青年と呼ぶにはやや歳を取りすぎた容姿
男が座る布団に枕は二つあった。それ以外の寝具は無い
(ああ、やっぱり)
観衆の前で痴態を晒されたときから理解はしていた
性欲を満たすために自分は買い取られえたということに
行為中に抵抗されないよう、あの蔵で一日かけて自分は弱らされたのだろうと、察しはついていた

「おいで」

男はそれだけ言うと手を差し出してきた
フランドールは特に躊躇う素振りもなく、その手の上に自身の手を重ねた
(ドウデモイイヤ)
抵抗する気は起きなかった。反抗的な態度を取れば酷い目に合わされる可能性を考慮した
そのまま引きずり込まれるように布団に入ると小さな体を抱き寄せられた
男の身長はフランドールの倍はあったため、彼女の体は男の腕の中にすっぽりと納まった
(優しくしてくれるかなぁ)
自分が死ににくい妖怪なのを良いことに、同じ人間では試せないようなモノを強要してこないかが心配だった

(あれ?)

自身を抱きしめる腕から力が抜けるのを感じた
顔をあげてみると、男は目を閉じて寝息を立て始めていた
これから自分はここで犯され壮絶な責め苦を強いられることを予想していたのに、盛大な肩透かしを食らった気分になる
かといって、男を起こして「どうして何もしないの?」と訊く訳にもいかず。腕の中でしばらく呆けていた
(どうしよう・・・)
お互いの体温で温まった布団に心地よく、疲労の溜まった彼女はいつの間にか眠っていた








朝。目が覚めると彼女は一人で布団の中にいた
寝ぼけ眼で部屋を見渡して、男が部屋のどこにも居ないことを確認する
吸血鬼に対する配慮なのか、入り口の襖以外の場所には厚手のカーテンがかかっていた
「おはようございます」
部屋の外で待機していたのか、あの女中の声がして緩やかな速度で襖が開かれた
女中はフランドールまで歩み寄って正座した。その手には着物がある。昨日着ていたのを同じだった
「お手を、前に」
その言葉に従いフランドールは手を前に出すと皮のベルトが両手に通された
「あの人は?」
ベルトを巻かれながら尋ねた
「旦那様は商いで早朝よりお出になりました」
「あきない?」
「物を売るお仕事です」
「私みたいな妖怪を売ってるの?」
その言葉に女中はクスリと笑い、すぐに口もとを袖で拭いた
「失礼しました。いいえ、売っているものはすべて健全なものですよ。食べ物から家具まで幅は広いですが」
「ふーん」
会話が終わるころには、フランドールの手の拘束は終わっていた


天気は快晴。照りつける太陽の下を日傘をさした女中とフランドールは歩き、蔵まで移動した
昨日と同じ場所で羽を固定されて、紐を握らされる
「次はいつ迎えにくるの?」
「旦那様がお休みになるころには」
一礼して女中は部屋を出て行った

フランドールは昨日会った男について考え始めた
結局、昨晩はなにもされなかった。眠っている間に悪戯された形跡もない
初日だから様子を見たのだろうかと色々仮説を立ててみるが情報が足りないため
結局、紐を握ることに専念する以外やることはなかった

ただジッと女中が現れるのを待った




「キツい・・・・・」
どれだけ時間が経ったかわからない
紐のせいで一切の休息が取れず疲労が溜まり、それによって時間の密度も増して言い知れぬ圧迫感を感じる
この時点で17回、紫外線に焼かれた
何時終わるかわからないこの状況が彼女を心身ともに締め上げていた
昨日からの疲労は抜けておらず、それが拍車をかけた

ちなみに蔵での排泄についてだが、どうしてもしたい場合は座布団の下の床に穴があるのでそこでするようにと女中から説明を受けていた
フランドールは下着になるものは一切身に着けていないためガニ股ぎみに足を開いて、座布団をずらせばトイレは可能なのだが、両手を封じられた状態では上手に出来っこない
その旨を女中に伝えると「こちらの不手際です。座布団の上でも構いません」と申し訳無さそうに頭をさげた






4時間、5時間、6時間と蔵の中で時間が流れる
「お待たせしました」
蔵にやってきた女中が見たのは目を虚ろにさせて涎で胸元を、失禁で裾を濡らし。けれども紐だけはしっかりと握るフランドールの姿だった
女中の肩を借りて屋敷まで移動する。綺麗な月だったがそんなものを見る余裕など無かった
昨日と同じ部屋で膳を振舞われるが食べる気にならなかった。座ることもせず畳みの上に突っ伏すのみ。空腹ではあったが、スプーンを握るのも億劫だった
「今食べておきませんと、またしばらく食べられませんよ」
女中が玉子焼きにフォークを刺して、口に近づける
「・・・」
スンスンと鼻を鳴らしてから、フランドールは口を開けて料理を受け入れた
昨日は数分で平らげた膳を、今日は30分以上もかかった

体を清めてから寝巻きに着替えると、男の寝室の前に連れられた
蔵を出てから激しい睡魔に何度も襲われていたフランドールは廊下を歩いている間、首をコクリコクリを不規則な動きで揺らしていた
この時点で疲労はピークに達していた
「どうぞ、旦那様がお待ちです」
「ん~~~~~?」
開いた襖を覗き込むと布団に座る男が見える
おぼつか無い足取りで布団に向かい歩く。心地の良い布団に倒れこみたいという願望が頭の大部分を占めていた

「おいで」

男はそれだけ言うと手を差し伸べた
バランスが不安定だったフランドールはその手を無意識のうちに取った
そのまま男の胸に倒れこむ
男に支えられると、フランドールは気絶するように眠りについた
彼女を抱きしめたまま男は布団にもぐり、目を閉じて自身も眠る準備をし始めた








奇妙な感覚だった。自分は瞬きを一度しただけなのに夜が終わっていた
厚手のカーテンの隙間から差し込む細い細いわずかに光が時間の経過を知らせる。眠った実感が体に残っていない
ただ体の疲労感はきれいさっぱり無くなっていた
部屋に男は居らず
「おはようございます」
代わりに着替えを持った女中がやって来た
着替えを済ませて、厠へ寄ってから蔵に向かった





蔵の中でフランドールはまた男のことを考えていた
自分を性的な欲求を満たすために購入したのなら、衰弱しきった昨日は恰好の機会だったはず
しかし今朝おきて体を見渡してみたが、それらしいことをされた形跡は無かった
性欲処理が目的でないのなら、一緒に寝る以外になにか別の目的でもあるのだろうか
そしてなぜ自分は毎日このような苦行紛いの行為を受けているのか
疑問は尽きない
もしかして女をいたぶるのを趣味としているのか、とも思ったが、それならここに見学にくるはずである
「紅魔館に恨みでもあったのかな?」
それなら、今こうして自分が窮屈な思いをしているのに説明がつく
「・・・ちがうなぁ」
自分の手に付けられた皮ベルトを見てすぐ否定した
羽を拘束する金具や皮ベルトには薄い布が挟まれおり、触れている部分が擦れて傷つかないように配慮されている
下には座布団だって敷かれおり、女中の仕草からも怨恨を感じるものはなかった
では、自分が外に逃げるのを防ぐためにこんな手の込んだ細工をしたのだろうか、それならもっと効率の良い方法があるはず
目の前の装置は明らかに吸血鬼のために用意されたものだ
急ごしらえでこんな用意できるのかと考えたら、それは難しい
そのことからオークションの前から男は自分を買い取る気でいたのだとわかる

ではその目的は何かと考えると結局また行き詰った
考えれば考えるほど男の目的が見えてこない。出口の無い迷路に閉じ込められたようだった
そうやって沢山考えごとをしていても、まだまだ時間は経たなかった







月が空のてっぺんに掛かった頃に女中がようやくやってきた
食事を終えたらいつもの身支度を終えて、男の寝室に向かう

「おいで」

前日、前々日と同じ言葉
「ねぇ・・・」
布団の中に入ってすぐ話しかけた。疲労が少なかったので男について色々知ろうとした
「紐を離すと明るくなるやつ止めてほしいの。あんなことしなくても逃げないから」
「・・・・・」
貝のように黙ってなにも答えようとしない
「ねぇったら」
「・・・・・」
男は目を閉じていた。フランドールとのコミュニケーションを拒んでいるようにも見えた
何度か話しかけたが自分もとうとう眠くなってきたので、諦めて眠りについた





「あの人は偉い人?」
「そうですねぇ」
早朝。着替えを手伝う女中に尋ねた
「偉いと思いますよ。このあたりを治める地主の倅(せがれ)ですから」
使用人にから男の情報を得ていこうとした
「なんで私を買ったの? 幼い容姿の子が好きなの?」
「さあ、そこまでは分りかねます」
女中は困った顔を浮かべつつ、フランドールの手を縛っていった
そこで質問の時間は終わった





蔵の中で考え事をする時間はたっぷりあった
(そういえば、みんなどうしてるだろう)
今更かもしれながいが、紅魔館の住人のことが気になり始めた
実際の紅魔館の現状はわからないが、主人の妹である自分が売りに出された状況からして、不祥事でもやらかして没落したのだろうと予想する
当たり前のことだが、姉は紅魔館に対する思い入れが誰よりも強い
もしかしたら今頃、スカーレット家再興のために奴隷に身を窶(やつ)すのを良しとせず這いずり回っているのかもしれない
その再興のために何人の従者や部下がソレにつき従うのか。そしてどのような手段で紅魔館を取り戻すのかを考える
(力にものを言わせて強奪かな? それとも地道にお金を貯める?)
前者ならてっとり早く紅魔館を取り返せるかもしれないが、そのような無法は幻想郷でも許されない。後者なら何百年先になるかわからない
(空き巣、売春、運び屋、死体清掃、殺し屋、臓器提供、特殊性癖者への奉仕・・・・・いちばん稼げそうなのは)
四苦八苦する姉たちの姿を想像する
今日はそうやって時間をやり過ごした







夜になり女中が迎えに来た
食事をして、厠、風呂場へと行き着替えて男の寝室に向かう

「おいで」

抵抗することなく、その手を取る
男が先に布団に入り、フランドールも続いて男の懐に入りこんだ
(そういえば、向うじゃずっと一人で寝てたっけ)
彼女にとって、他人の体温を感じながら眠るというのは新鮮だった

昼間、紅魔館のことを考えていたせいか。以前の生活のことを思い出していた
ふと姉の姿が脳裏を過ぎった
レミリアは紅魔館に強い思い入れがあるからこそ取り戻そうと躍起になると想像した
思い入れというのは愛着である。それは『価格』や『機能』で付くのではなく、『思い出』によって付く
姉にとって紅魔館はきっと“我が家”なのだろう。今は従者や友人に囲まれ、かつては両親と過ごした思い出の場所。心のよりどころ
けれど自分にとって紅魔館は“入れ物”だった。日光と雨風が防げて、食事が取れる場所
生まれて間もなくして地下へ幽閉された自分には思い出て呼べるものは少なかった。家族とは無縁の場所にいた

(お父様と一緒に寝るのって、こんな感じなのかな・・・・・・)

力強さを感じる逞しい腕、固いと思える胸板。もしかしたら姉も昔はこんな風に両親と同じ布団で寝ていたのかもしれない
腕を伸ばして男の首に手を回して、さらに体を密着させてみる
なぜか安堵感を感じて自然と目蓋が落ちる。絶対に安全なシェルターの中にいると錯覚してしまうような不思議な感覚

(あ、これ。結構・・・いい)

安眠という言葉が久しぶりに頭に浮かんだ






朝、目を覚ますと相変わらず男の姿は無かった
そしていつもの女中がやってくる
着替え、腕にベルトを通されている間に今日も質問をした
「あの人は結婚してるの?」
「いいえ、独身です。結婚していたらこのようなことは出来ませんよ」
女中は笑顔を崩さずに言う
「あ、そっか・・・じゃあさ」
「終わりました。キツくないですか?」
皮ベルトのバンドを締め終えた
「うん、大丈夫」
親指を動かして確認する
「では行きましょうか」
そこで質問をする時間は終わってしまった
時間的に聞けるのは大体1つか2つだったが、いっぺんに色々わかってはつまらないと思っていたのでそれで良かった






この場所で過ごす時間は長い
朝に蔵に入り、夜に男が寝る時間になると蔵から出て寝室まで移動するというサイクルになっている。その時間は軽く12時間を超えていた

同じ体勢の長時間の維持は辛く。こればっかりは慣れることは無い
血液の循環が悪くなると感覚が痺れて麻痺し、筋肉が攣ったり、腰痛、ひどい場合は血栓が出来ると女中が説明した
なので、それを防止するために動かせる部分は定期的に動かした
姿勢ばかりに気を回していると今度は紫外線に焼かれた
その状況に終わりの見えないという不安が消耗を早めた
(早く終わんないかな)
居心地の良かった昨日を思い出す
楽になりたいとう一心で夜を待った








待ちに待った時間が訪れ女中が迎えに来る。身支度を済ませて寝室にたどり着く
女中は無言のまま開いたが、普段とは雰囲気が違うような気がした
部屋を覗き込むと中には誰も居らず、行灯のともし火だけが寂しそうに揺らいでいた
「あの人は?」
少しだけ不安になり尋ねた
「お仕事の関係で今夜はお戻りになられません。ですから今夜はお一人でお休みください」
「・・・・・うん」
ここに来てはじめて躊躇いがちな返事をした

一人で布団をかぶる

―――おいで

あの声。いつも聞こえた息遣い、脈拍、布団の擦れる音。あの腕の温もり
それが無いことが酷く落ち着かなかった

彼女は胎児のように体を小さく丸めて浅い呼吸を繰り返した
布団がいつもより冷たく感じられた








屋敷にやってきて一ヶ月が経とうとしていた
「おいで」
「うん」
先に男が布団に入ると片腕を枕の位置に置いた、その腕をフランドールは枕にして横たわる
頭を動かして腕枕の位置を微調整してから男の背中に手を回して体にしがみつくと、羽を器用に小さく畳んだ
男の両腕がフランドールの体を一周して、自分の胸に抱き寄せて完成
まるで一個の生物になったようにお互いの体温を共有する

ただ一緒の布団で眠るだけの関係
「昨日ね、怖い夢を見たの」
一週間ほど前から、フランドールは悪い夢を見るようになった
ポツポツと夢の内容を語りだした





肉屋のショーウインドー。豚の隣に自分が並んでいる
最初に来たお客が自分の横の豚を注文した、豚は頭に穴が開いている以外は小屋で見る姿とまったく同じだった
気の良さそうなちょび髭の店主は客に対して親指を立ててからその豚を調理場に運ぶ。調理場はウインドーで見えるようになっている。この店は肉の解体を直接見えるのが売りなのだ
手際よく豚が部位に分けられていく。臓物をつかみ出してトレイにおいてラップをかけて冷蔵庫にしまい。客が注文した部分をストンと関節で切り落として見せ付けるように掲げる
肉の断面を見せられた客はオーバーに肩をすくめて見せた
切り取った肉ブロックの半分は鍋用であるためスライスする機械へ、残りはステーキ用として包丁で分厚く切られていく
包装された肉を受け取ると客は満足そうな顔で帰って行った
切った豚を各部位に切り分けて冷凍庫に入れ終えて少ししたあと次の客がやって来た
客がしばらく迷ってからフランドールを指差した
店主は軽々と彼女を持ち上げて、調理場の台に落とす
「きゃっ!」
ひんやりとした銀色のシンク台にうつ伏せにさせられ、逃げられないように大の字の体勢で固定金具で拘束される
顔をあげると店主が窓の向うの客に向かい袖をまくって力コブを作って見せた。その手にはナタのような重量感の包丁
それを二本取り出すと店主はジャグリングを始める。見ていた客が思わず口を両手で塞ぐが、その目は期待と安心に見て取れた
間近で行なわれるその光景に戦慄し震える。刃がいつこの身に振る掛かるのかわからない恐怖に怯えていた
ジャグリングの手が止まる。店主はそれぞれの手にある包丁の刃をぶつけ合ってキンキンと甲高い音を響かせた
次の瞬間に包丁が二の腕の半分まで食い込んでいた
「いだいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」
遅れてきた激痛。店主は包丁の刃の裏側に手を押し当てて全体重をかけながら刃を引く
コンッという小気味の良い音と同時に腕が落ちた
「ぎぃぃうぅぅぅ!!」
噴出した血がシンクを染めて、床に滴り小さな川になり、そのまま排水口に流れていく
店主は切り取った腕とシェイクハンドをして客を笑わせていた
腕をしぼって断面から血を抜いてから大きな紙でくるりと包んでビニール袋に入れて、輪ゴムで縛って客に渡した
今のが最後の客なのか、店主は大きく一度伸びをしてから店のシャッターを下ろた
「ち、血を止めて、くだ、さい」
店の中に戻ると血が止まらないフランドールが店主に懇願した
めんどくさそうに頭を掻いた後、紐でフランドールの腕を縛った
吸血鬼の再生能力はすさまじく、時間の経過と共に血が止まり始めていた
店主はロッカーからモップとバケツを出してフランドールの前に置いて、血の掃除をはじめた
掃除を終えて、店内をアルコール消毒してからフランドールをショーウインドーケースの中に戻した
次に冷蔵庫をあけると先ほど解体した豚の臓器が乗ったトレイが出てきて、それを持ってきた
「うぐぅぅ」
生のレバーを片手で掴むと無理矢理フランドールの口に詰め込んだ
これが今日の彼女の食事だった
生臭さが口から鼻、肺から胃に充満する
「オェ・・・」
吐きそうになるのを必死に堪えて咀嚼して飲み込んだ
レバーが終われば噛み難い腸が、歯ごたえのある心臓が、血の泡の残る肺が、異臭を放つ腎臓が。食べても食べても臓器はなくらない
おかしいと思いトレイを見ると
トレイからはまるで源泉のように臓物が無限に湧き出てきていた


そこで夢が終わった


「目が覚めたときはもう朝になってて、蔵の中でもその様子がずっと頭の中でグルグル回ってて・・・」
「・・・」
男は何も話さない。ただ無言で彼女の背中を撫でた
フランドールは喉を鳴らして男にしがみつく力を強めた
未だに男から「おいで」以外の言葉を聞いたことがなかった
けれどそれだけのやりとりで十分だった


朝になると男の姿は無かった。仕事に行ったのだ
「おはようございます」
あの女中ともだいぶ親しくなった
この女中以外の使用人と話したことは無かった。その分、雑談をすることもしばしばある
「お家のこと、あまり気を落さないでくださいね」
フランドールは複雑な表情を浮かべた
彼女から紅魔館の現状を聞いた。そして知ったところで自分にはどうすることも出来ないことも

そして自身に“悪魔の契約”が施されていることも彼女の口から聞かされた
一度結べばその契約は絶対で、破る行動を取ることができなるなる悪魔の契約
契約内容は『落札者に対して絶対服従』というもの、危害を加えたり脱走しないということも含まれていた
オークションの際、自分の意識が曖昧なとき無理矢理に締結させられていたらしい


「縛るの、上手くなったね」
皮ベルトを締める女中の手際も、この一ヶ月で大分上達した
「あまり褒められましても」
苦笑する女中と共に蔵へ向かった




蔵での生活は疲れないコツがだんだんとわかってきたため当初ほどの疲労は無い
紐を手放して紫外線にあたることもなくなりつつあった
排泄にも慣れて小水のほうなら問題なく済ませられるようになった
「早く夜にならないかな。ここ退屈」
時間のすごしかただけが問題だった
ただ寂しさだけが募った






夜。フランドールは目を覚ました。目の前に男の顔があり安堵の表情を浮かべる
今夜もまた悪夢を見た
環境の変化による影響でそういった類のものを想像してみてしまうのかもしれないと考えるが原因まではわからない
彼女が目を覚ますと、決まって男も一緒に目を覚ました
スライド写真のように一コマ一コマでしか思い出せないが、大体の内容は覚えていた



始まりは手術台の上だった
首から十字架の飾りをぶら下げた黒衣の者たちが検体を見下ろしている
「対吸血鬼用兵器の実験台になる貴重なサンプルだ。苦痛はどれだけ与えても良いが、絶対に殺すな。これを手に入れるために多くの財を手放したのだ」
黒衣の集団が全員うなづいた
「ではまず私から」
小瓶をもった男が前に出る
「とりあえず、吸血鬼に対して有効な薬品を作ってみたんです。血管に注入できなくても塗布するだけで効果のあるものを。完成したら異端審問がやりやすくなると思いまして」
フランドールの腕に小豆程度の量が塗られる
効果はすぐにあらわれた
「ああ゛あ゛ぁぁああああ゛あ゛あぁぁあああ゛!!」
塗られた部分が泡立ちはじめて、皮膚が破けて血が噴出した
「これを体内に入れたら、血管をガラスが流れるような痛みを受けるのでしょうか?」
「待て、試すのはもう少し回復してからだ。絶対に殺すな」
「そうです、それに順番を守ってください。次は我々の支社が開発した武器の試作です」
薬品の痛みで悶えるフランドールを拘束したまま担ぎ上げて向かった場所は射撃場
そこの柱に括り付けられて、試作武器の銃口が一斉に彼女を見る
「なんだか口径が通常よりも大きいな、弾の代わりにニンニクでも出るのか?」
武器を構えた全員からどっと笑い声が上がった
「まあ撃ってみてのお楽しみということで」
銃の設計者の号令と共に撃ち出された弾がフランドールの体を貫通していった





幸いにも、そこで夢から覚めた
断片的に思い出しただけなのに、体の震えが止まらない
もしかして、この男に買われなかった場合に自分が迎えていた未来の一つかもしれないと思ったら怖くて堪らなかった
「ヒッ、ヒッぅ・・・・・エグッ」
胸元には瞳孔が一杯まで開き、息を荒げるフランドールは目をきつく閉じて泣き出した
「・・・・・」
頭を撫でてからギュッと強く抱きしめて落ち着かせる
それだけで恐怖が和らいだ
男はしばらく背中をトントンと叩いてあやしていると、呼吸もしだいに落ち着き安らかな寝息を立て始めた

一緒じゃないと安心して寝れないほど男に依存していた




男がフランドールに手を出したことはまだ一度も無い。逆に彼女から肉体関係を迫られたことが何度かあった
それは犯される夢をみたのが発端だった
手足を押さえつけられて足を閉じることも出来ず、異物を挿入されて弄ばれ、抵抗すると四肢を切り落とし達磨にされ道具のように扱われるという残酷極まりない内容だった
食事にはすべて自分の飼い主の精液が掛かっており、それが家畜用の皿に乗せられて、犬のように食べさせられた
食べている間も、後から容赦なく挿入されて膣を何度も傷つけられる
「自慰して」
「へ?」
「オナれって言ってるの」
「で、でも・・・・」
手足の無い自分に、そんなことは出来ないと言うつもりだった
「あれ使って」
男が指差す先にあったのは床の転がった鉄のパット。折檻されるときに良く使われるもの
「そんな」
「嫌なら、今から羽を砕くのに使うけどいいの?」
「や、やります。やらせてください」
芋虫のように這いずり、転がるバットに自身の秘所を重ねる
「ひゃっ」
体の最も敏感な箇所が鉄の冷たさが直に伝わる
「早く」
「た、ただいま・・・・・んんっ」
残った全身の筋肉を動かして体を振動させて、濡れていない秘所に刺激を与える
バットが自分の体温で温まったころ、その表面は愛液で湿っていた
「ふぅふぅふぅ、あぁ、くぅ」
主人を楽しませるために、声を押し殺して秘所を擦り付ける。自分の姿が情けなくなって涙がポロポロと流れてきた
「床オナニーしてるみたいだね」
しばらく眺めていた男がフランドールのもとまでやってきた
「気持ちいい?」
「きもひいです」
半分は本当だった、自分の体が火照り自慰に夢中になっていた
「・・・あぐっ」
唐突に蹴り転がされて、バットを取り上げられた
「あ・・・」
バットを没収されたとき切ないそうに鳴いてしまった
「前戯終わったし、本番しようか」
太いバットの先を向ける。それだけで男はなにをしたいのかわかった
「無理無理無理!!」
昂ぶった体は一瞬で冷めて、ただ恐怖で身を振るわせる。首を何度も横に振った
膣を限界を超えてまで押し広げられた痛みは、現実で受けたことなど無いはずなのに妙に生々しかった

その夢の中で男性の機嫌を損ねてはならないという恐怖心を植えつけられた
恐怖から男を誘った。男に気に入られなければ同じ目に遭わされるのではと思い込んだ

「おいで」と差し出した手を、いやらしい舌の動きでしゃぶって見せた
布団に入り抱き寄せられたとき、着物をはだけさせて乳首を摘ませた
男が眠りそうなところで、自慰を始めて耳元で喘いでみせた
男の太ももに秘所を擦りつけた


それでも男のほうから手を出してくることはなかった
最後に「私って魅力ないの?」と不安げな声で訊くと
痛いくらいの力で抱擁された。たったそれだけの行動なのに、「そんなことしなくていいよ」と言われた気がした







今夜も同じ布団で眠る
「ねえ」
男に話しかけた。返事が来ないことなどわかりきっている
相変わらず「おいで」以外の言葉は発していない
けれど男との会話の仕方が段々とわかってきた
「人間ってすぐに死んじゃうんでしょ?」
「・・・・」
「あなたが死んでお墓に入るとき、私も一緒に入れて」
その言葉のあと、男の心臓がトクンッと跳ねる音が聞こえた
細かい動作から男の気持ちを読み取る
「駄目だよ。だってもう。この中のほかに私の居場所は無いから」
「・・・・・」
「あなたが私をこんな風にしたんだよ」
その言葉の後、男に強く抱き寄せられた
「責任とってくれる?」
頬がフランドールの頭についた
「嬉しい」
そこから先、フランドールは黙り込んだ
男の胸に耳を当てて、心臓の動く音を聞いていた
自身の心臓に手を当てて男の脈と比較する。男の方が少しだけ早く鼓動しているようだ
フランドールは吐く息の量を調節して自身の心音を早める
早くしすぎて男のペースを追い越してしまったので、今度は深呼吸を繰り返す
そうやって男の音を追いかけるのが、寝りに就く前の遊びになっていた

心音がまったく同じになると、フランドールは自分の胸を男の胸に重ねた
一つのリズムで鼓動する二つの心臓。命を共有できているようでたまらなく嬉しかった

男の目的は未だにわからない。けれどそれでも良かった。


―――どうか、途切れませんように

495年間、抜け落ちていたものが埋まった
一人では決して得ることの出来ない温もりの中

―――出来るだけながく、この心音が続きますように

願い。彼女は目を閉じた
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