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木質の偽造ペレット工場

東方の二次創作SSです。いぢめ・グロ注意

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神聖モコモコ王国 ~怒りのピュア・ロード~


■■ここまでのあらすじ■■


「輝夜モッ殺す!!」

妹紅は激怒した。

「とにかく抹殺してやるモコ!!」

必ず、かの蓬莱山輝夜を除かなければと決意した。

「不死身だろうと関係ねぇモコ!」

妹紅に政(まつりごと)はわからぬ。妹紅は暇人である。けれども身内に恥には人一番敏感だった。


上白沢邸。

「純狐とかいう。月の民絶対殺すマンがいるらしいモコ」

朝ご飯を食べながら妹紅は慧音にそう切り出す。

「これ以上、面倒ごとを持ってくるな」

自分の食器を片付ける慧音は呆れた声で答えた。

「月のどっかにいる嫦娥とかいう奴に復讐を誓った。妹紅の二番煎じみたいなヤツモコ」
「向こうは身内を殺されてるって聞いたが? お前のは親父さんの恥を恨んでるだけだろ?」
「身内の未練を晴らすのに高尚も卑しいねぇモコ!! 仇討に貴賤なんざ無ぇモコ!」
「そういうものか?」

言っている事は最もだと思いながら、心のどこかで釈然としない慧音だった。

「とにかく、純狐とかいう奴を引き込んで輝夜を抹殺するモコ」
「引き込めるのか?」
「そいつに『嫦娥=輝夜』という偽の情報を与えるモコ」
「『嫦娥=輝夜』って、どう考えても無理があるだろ」
「ところがモッコイ。考察スレに行けばそんなネタごろごろ転がってるから問題無いモコ」
「何が問題ないんだ? 第一、信じてもらえるのか?」
「苗字の無いキャラはだいたい馬鹿キャラって相場が決まっているモコ。ジュンコなんて名前からして妖精か団地妻の類に違いねぇモコ」
「なんで団地妻?」
「こうしちゃいられ無ぇ。とっとと探しに行くモコ! 例によってついて来いモコ!」

こうして妹紅達は出発した。







人間の里。
大通りを二人は歩く。

「それにしても『純化』つーのは、どういう意味モコ?」
「馬鹿正直に捉えるなら、ピュアになるって事か? つまり心が純粋になる?」
「それってモスラと友達になれるくらいモコか?」
「どういう基準だ?」

ふいに妹紅は首を伸ばし、あたりを見渡す。

「本当にこのあたりに居るのか?」
「竹林のうどん野郎に会う為に、こっちにも出没してるらしいモコ」
「そんな頻繁に現れるとは思えんが」
「うるせえ! pixivでカップリングタグがあったから間違いなくどっかにいるモ…」

すぐ横を黒い法衣の女性がすれ違った瞬間、妹紅は足をピタリと止めて振り返った。

「なにか?」

妹紅の視線に気づいたのか、黒い法衣を纏い、すだれの付いた冠をかぶった金髪の女性は小首を傾げる。

「モオウオオオオオオオオオオ!!!」

妹紅は拳を振り上げて、女性に殴りかかった。

「ハァァァl!!」

女性も怯む事無く、クロスカウンターの要領で拳を繰り出す。
交錯する腕と腕、両者は顔面に相手の拳を貰い、その場に片膝をつく。

「なにやってんだ妹紅! 大丈夫ですか?」

慧音は慌てて女性に駆け寄る。

「なるほど、貴女も私と同類ですか」

女性は口元を拭い、得心いった表情でよろよろと起き上がった。

「テメェも中々良い仇討スピリットを持ってやがるモコ」

焦点の会わない目で妹紅も立ち上がる。

「テメェが純狐とやらで間違いなさそうモコね」
「その通り。私は純狐、そして貴女は藤原妹紅。とある月人に報復を誓う者というワケですね」
「ちょっと待て。なんなんだ一体? なぜ殴りあったんだ?」

状況が呑み込めない慧音。

「フン、アベンジャー同士は拳を交えれば、だいたいの事は通じ合えるモコ」
「奪われた事の無い御方には、理解できぬ事でございます」

妹紅と純狐はお互いの肩を組み、慧音に向かって親指を立てる。

「…」

その仕草に、慧音は小さく苛ついた。

「よし、けーね。輝夜と嫦娥が同一人物だという事をわかり易くまとめたパワーポイントをプレゼンするから、プロジェクターを用意するモコ」
「ジョウガ!!」
「うおモコっ!?」

妹紅の発した『嫦娥』という言葉が引き金になったのか、漂わせていたお淑やかな雰囲気が一瞬で失せて表情が険しくなった。

「嫦娥殺す!! 嫦娥殺す!! 嫦娥殺す!! 嫦娥殺す!!」
「モコッ!?」

何かに憑り付かれたような豹変ぶりに流石の妹紅も面食らう。

「手を貸せヘカーティア!! 今日を嫦娥の落日にしてやろうぞ!!」

両手を広げ、天に向かって叫ぶ。

「地雷級どこかモーションセンサー爆弾級の逸材がいやがったモコ。コイツはマジモンだモコ」

妹紅は口元を吊り上げ、好奇と畏怖と困惑が入り混じった表情で純狐を見る。

「しかしこのマッド(狂気)具合、嫌いではないモコ。じゃあさっそく抹殺に行くモコ! 慧音も手伝えモコ!! 戦争は数だぜモコ!」
「おい、こら。引っ張るな」
「嫦娥よ、見ているか!」










数時間後。里の外。
輝夜と鈴仙を乗せた牛車は、魔法の森にある香霖堂を目指して、何もない平野を進んでいた。

「悪いわね。付き合わせてしまって」

車箱の上に座る輝夜は、二頭の牛を引く鈴仙に話しかける。

「そんな、お誘いいただきありがとうございます。ここ最近、薬売りばかりで退屈していたところです」

振り返って、屈託ない笑みを浮かべながらそう返した。

(イナバもようやく、幻想郷の一員になったって所かしら)

紺珠の一件から、鈴仙の中で一つの区切りが出来たのか、どこか吹っ切れた事を輝夜は感じていた。

「 ? 」

そんな時。遠くからエンジン音が聞こえた。
それは時間と共に大きくなり、自分達の後方からしているとわかった。

「なにあれ!?」

牛車から身を乗り出して後方を見た輝夜は絶句する。
首長恐竜の大群が、こちらに向かって走って来ていた。

「嫦娥よ、見ているか!? 私を見ろ!! 私を見ろ!!」

首長恐竜の一体の背中に乗っている純狐が叫ぶ。彼女のすぐ後ろには妹紅と慧音もいた。

「おい妹紅、何なんだこのビックリドッキリメカは!?」

首長恐竜に見えたそれは『ネッシー号』。河城にとりが所有するメカである。
内部に操縦席があり、そこで操作できる。

「なんか最近、外の世界で戦車が飛ぶように売れるみたいで、スペースの邪魔だからって、タダでくれたモコ」
「第三次世界大戦でもやってるのか?」
「戦車道だとかなんとか言ってたモコ」

ネッシー号達の大群は、四肢で地を鳴らしながら輝夜の牛車を目指す。

「イナバ!!」
「わかっています!!」

鈴仙は跳び、輝夜のとなりに着地すると、牛をけしかけて走らせる。

「でもこの足じゃ、すぐ追いつかれる」
「大丈夫です。これがあります」

鈴仙は注射器を二つ投擲し、牛の背中に刺す。

「特別に調合した強壮剤です。これでかなりの速度が出るハズです」

彼女の言った通り、いつの間にか二頭の速度は電動機付き自転車に匹敵するものになっていた。




「うお! アイツらなんかスピード上がってないかモコ?」
「みたいだな」
「こうしちゃいられねぇモコ! スピードアップじゃいモコ! お前ら!」

妹紅は他のネッシー号に乗っていた妖精達に合図を送る。

「「「「8A!! 8A!! 8A!!」」」」

妖精は両手の指を絡ませて呼応する。

「8A(深秘録:打撃コマンド)を讃えやがれモコ!!」
「「「「8A!! 8A!! 8A!!」」」」

妖精たちのテンションに応えるようにネッシー号は加速する。

「それでこの妖精達はどっから集めて来たんだ?」

どう見ても幻想郷産でない出で立ちの妖精達。

「地獄産の妖精らしいモコ。そいつの配下らしいモコ」
「そいつ?」

妹紅が慧音の背後を指さす。振り向くとV系ファッションの女性が立っていた。

「ヘカーティア・ラピスラズリ。純狐の友人よ。よろしく」
「ど、どうも」
「そしてコッチが…」

彼女は首輪から伸びる鎖に繋がる二つの球体を指さす。

「ラリー、バリー」
「……はぁ?」

曖昧に相槌を返す慧音。

「ちょっとモコタン!! このネタぜんぜんウケないんだけど!!」
「そんな事ないモコよ。きっとマッドマックス知ってる読者には、今頃どっかんどっかんウケてるに違いないモコ。多分」
「ところで誰が操縦しているんだ?」
「とうぜん妖精どもモコよ」
「妖精が動かせるほど簡単な機械なのか?」
「阿頼耶識システムを使っているから問題ないモコ」
「相変わらず河童が作るのは、ろくなモノじゃないな」

そうこうしている間に、ネッシー号の群れは牛車に追いつく。

「やい輝夜! 覚悟しやがれモコ!」
「やっぱり貴女だったのね」

ネッシー号の頭の上から輝夜を見下ろす妹紅。

「とっ捕えて純狐に差し出して、『純化』とかいうなんか良くワカラン能力で抹殺してやるモコ!」

妹紅は背負っていた竹槍の束の中からその一本を掴み、振りかぶる。

「だからまずは死ねモコ!!」

槍投げと同じモーションで投げた。

「姫、下がって!」

しかし、それを兎型の銃を手にした鈴仙が撃ち落とす。

「自機化したクセに第12回人気投票で順位を上げられなかった奴が出しゃばってんじゃねぇモコ!!」
「なんの事か知らないけど、アンタにだけは言われたくない気がするわ!!」
「うるせぇ! 十位圏内は激戦区なんじゃいモコ!!」

竹槍の第二投目を放つ。しかしそれを鈴仙は素手で掴むと、妹紅に投げ返す。

「モゴァ!!」

返って来た竹は妹紅の心臓を貫き、身体を貫通した。竹の先の空洞には、妹紅の心臓が納まり、まだ鼓動を続けていた。
ネッシー号から落ちた妹紅は、後続のネッシー号達に踏まれてその姿は見えなくなった。

「なぁ。妹紅が脱落したから解散しないか?」

そう慧音は純狐に提案する。

「嫦娥よ! だから私を見ろ!! 私を見ろ!!」
「駄目か………ん?」

ヘカーティアに肩を叩かれて振り返る。

「イモータンとモコータンって似てない?」
(この人はさっきから何がやりたんだ?)

頭目の一人を失っても、彼女達の侵攻は止まらない。

「イッツルナティックターイム!!」

もう一台の別のネッシー号。その頭に乗るやたら奇抜な衣装の妖精が叫んだ。その手には燃え盛る松明が握られている。
ネッシー号が首を左右にぐわんぐわんと揺らしはじめると、その動きを利用して、地獄の妖精クラウンピースは牛車の上に飛び乗る。

「ちょっ! 燃えてる!! イナバ!! 燃えてる!!」

車箱の天井が燃えている事に気付いた輝夜は慌てふためく。

「姫っ! 頭を低く!!」

箱の支柱に銃弾を撃ち込み素早く折ると、壁に思い切り蹴った。車箱の壁と天井がゆっくりと牛車から剥がれ始めた。
そして牛車の壁と天井は、クラウンピースを道連れに地面に落下した。

「いたたたた………あ?」

グチャリと、嫌な音がした。後からやって来たネッシー号の足の裏に、クラウンピースだったものが付着している。

「良く死んだ!」

ヘカーティアが喝采を送る。

「「「「「ウオオオオオオオオオオ!!!」」」」」

他のネッシー号の妖精達もいきり立ち、一斉に竹槍を投擲する。

「うわわわわわわ!!」
「チッ」

渋い顔をしながら、二丁拳銃で次々と撃ち落としていく鈴仙。弾を全弾使い尽くす事で、どうにか凌いだ。

(どうやって収集つけるんだこの状況)

慧音が言い知れぬ不安を感じていると。

「待てコラモコォォォ!!」

後方から聞き飽きた声がした。

「あれは…」

背後から生やした炎の翼を推進力に、即席で作った竹馬を駆り、猛スピードで追い上げる妹紅の姿があった。

「妹紅は滅びんモコ! 何度でも不死(よみがえ)るモコ!!」

ネッシー号の横にならび、慧音の真横に跳び移る。

「ただいまモコ」
「おかえり」
「首尾はモコ?」
「帰りたい気持ちで一杯だ」

しかしこの時。後続から追い上げて来たのは妹紅だけではなかった。

「そこの怪物集団!! これは一体なんの騒ぎですか!?」
「あれは白蓮聖人(しょうにん)か?」

黒いライダースーツに身を包み、大型二輪に跨る聖白蓮。最後尾にいるネッシー号の横までやって来て並走する。

「大きな土煙に人里の皆さんが不安がっています! 即刻解散してください」
「8A!! 8A!! 8A!!」

しかし、地獄の妖精たちは聞く耳を持たず、奇声を発しながら竹槍を聖に投げつける。

「仕方ありません。南無三!」

アクセルを全開まで回して、フルスロットルの状態でネッシー号の足にぶつかり、その固い装甲を抉る。
バランスを崩したネッシー号は大きく横転。集団から脱落した。

「まだまだぁ!!」

前方のネッシー号を同様の方法で次々と蹴散らして、前に進む聖。
そして残すは妹紅たちが乗る一台だけになった。

「ちぃ、面倒なターボババアが来やがったモコ。僧侶でライダーだからって、正義の味方気取ってんじゃねぇモコ」

ちょっと前は、魔法使いでライダーなネタで賑わったクセに。と妹紅は思う。

「手荒な事は望みません、大人しく停止し…」
「テメェもゴーストにしてやるモコ!! 火焔竹筒(←+C)!」

火薬を詰めた竹筒を聖に向かってばら撒く。

「えっ!? あっ、ちょっ!?」

足元で起きた爆発にハンドルを取られて転倒する。

「うっし! 邪魔者が消えたモコ」
「お前なんてことするんだ」

慧音は踵を返して聖の姿を探す。

「私は白蓮聖人を医者へ連れて行くから、暗くなる前に帰って来いよ」

そう告げてネッシー号から飛び降りた。




「どういうワケか残り一台になりましたね」
「そうね………イナバ! 前!」

牛車が進む先には、大きな沼地があった。

「しっかり掴まってください」

牛二頭が大きく身体を傾けながら、急カーブする。

「逃がすかぁモコォォォォ!!」

ネッシー号も身体を傾け、まるでドリフトでもするかのように、図面に足を擦らせて慣性の勢いを利用して曲がろうとする。が、

「ウオオオオオオモコ!!」

曲がり切れずに沼地に突っ込んだ。

「リクタース!!」

投げ出されて沼地へダイブするヘカーティア。

「嫦娥ァァァァ!!」

執念による賜物か、純狐は沼地ではなく牛車の上に落下した。

「嫦娥よ! 見ているな!? 今から貴様の神経を一本に束ねてハンダゴテで焼き切ってやるぞ!!」
「ヒィィィィ!!」

両目を血走らせて唱えるその姿に輝夜は心の底から恐怖する。

「嫦娥よ! リメンバーミーだ!!」
「純狐さん!」
「ぬぐっ!」

鈴仙が背後から忍び寄り、薬品が塗布された布で口と鼻を塞ぐ。

「じょ、う……が」

純狐は静かに意識を手放した。

「とりあえずひと段落ですね」

抱きかかえた純狐を車箱の床に寝かせながら鈴仙は言う。

「彼女はどうするの?」
「妹紅に何か吹き込まれたのでしょう。目が覚めれば正気に戻っていると思います」
「それにしても…」

走り続ける牛車の上から輝夜は後方を見る。壊れたネッシー号の残骸と、死亡して光に包まれる妖精達の死体。死屍累々の光景が広がっていた。

「とんだ外出になっちゃったわね」
「ははは、全くです」

「まだ終わってねぇぞモコオラァ!!」

「「ッ!?」」

車箱の後方に竹槍を突き刺してぶら下がる妹紅の姿があった。

「しつこい奴。姫、何かぶつける物はありませんか? 弾幕では力不足です」
「ぶつける物って言っても………あ」

二人は同時に純狐を見た。

「今日こそテメェをモッ殺してや…」
「「せーのっ」」

輝夜が純狐の両手、鈴仙が純狐の両足を掴み。振り子のように揺すってから妹紅目がけて手を離した。

「モゴアッ!!」
「ジョウガ!!」

二人は仲良く地面を転がっていった。












夜。上白沢邸。

「ただいまモコ」
「お帰り。どうだった?」
「いっこ学んだ事があるモコ」
「なにをだ?」
「心がピュアなのと、頭の中がメルヘンなのは、同じなようで全然違うモコ」
「そうか」




















【 第二話 夢の夢の夢の… 】



満月の夜。ハクタクが出没するこの晩は、人里の警戒レベルが最大限にまで引き上げられる。
しかし。

「おかしい…」

里の往来。見回りをしていた男が呟く。

「静か過ぎる」

この時間、いつもならハクタクの笑い声と少年の叫び声が聞こえるハズである。しかし、今はまだそれが無い。

「今日は出没しないのか?」

里の住人達は知らない。
ハクタクの魔の手が、別領域から静かに迫ってきている事に。






上白沢邸。

「ZZZZZZ」
「うるせぇモコ」

白澤へと変身し、角を生やした慧音は、布団の中で大きないびきを掻いていた。





■■■


夢の世界。

「いやっほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

ハクタクは暗く長い廊下を奇声を上げながら走り抜けていた。

「夢でもしっ、逢えったら~♪ 素敵なっこっとねぇぇぇ♪ アナタに逢っえるぅまでぇ~♪ フフフフーンフフフフ~♪」

歌詞はかなりうろ覚えである。

「止まりなさい。そこの淫獣」
「む?」

長い廊下の途中、壁にもたれて腕を組む少女の姿があった。
ハクタクは踵でブレーキを掛け、彼女の前で静止する。

「これはこれは、3ボス兼エクストラ中ボスで都を隠すという、色々と私の二番煎じ丸パクリキャラ。ドレミーじゃぁないか」
「何を企んでいるのかしら?」
「夢と夢は繋がっているんだろう? ならば美少年の夢に出てサキュバスっちゃうのもオツだと思ってな。明日の里は、夢精(ドリームショット)して干される布団が並ぶぞ」

栗の花の香に包まれる里の朝の光景を思い浮かべ、ハクタクの表情が綻ぶ。

「エルム街の悪夢ならぬ、エロム街の淫夢」
「夢の秩序を守る私が、それを許すと思う?」

その目には殺意が滲んでいた。

「固い事言うなよ。獏と白澤。同郷のよしみだろ?」
「何が同郷よ。この国辱者」
「んだとコラ。私以上のパトリオット(愛国者)はそうそう居ないぞ」
「夢の中で寝言言ってんじゃ無いわよ。麒麟や霊亀から『旧正月の宴会に白澤を絶対に呼ぶな』って言われてるくせに」
「マジか」
「最近じゃ、四凶からトウコツを外して、アンタを加入させる話まで上がってるわよ」
「誰が言ってんだソレ? 共工か? あの身も心もブサイクな共工か?」

地元トークでしばらく盛り上がる二人。

「とにかく、アンタの好きにはさせないわ」
「貴様如きが私を止められるとでも?」
「夢の世界で、獏に勝てると思ってるのかしら?」

ドレミーが手をかざすと、ハクタクの背後に山のように巨大な獏が出現し、その足でハクタクを踏みつぶす。

「ここは全てが私の思い通りになる世界。万に一つ、億に一つ、兆に一つ、京に一つの勝機も無い」
「そいつはどうかな?」

踏みつぶされたハクタクに見えたが、両手で足裏を持ち上げて、再び姿を見せる。

「馬鹿な! その足だけで何万トンあると思って…」
「何万トン? 夢の支配者を謳うわりに、ずいぶんと貧相な想像力しか持っていないんだな?」

ハクタクが両手を天に向けて更に伸ばすと、獏は背中から倒れた。

「人間は現実でしか生きられない癖に、夢を追い続ける愚かな生き物だ。だからこそ、夢を夢を知っているからこそ。その願いに限界は無い! そして私のエロスにかける情熱と想像力には、底も天井も無い!!」
「前半すごい良い事言ってたのに、後半で一気にぶち壊したわね」

ファインティングポーズをとるハクタク。

「かかって来いイノシシもどき。現実を教えてやる」
「そんなに私の本気が見たいのかしらウシもどき?」

この世のどこにも存在しない場所で二人の視線が交錯する。

















翌朝。

「おいケーネ。なんか季節外れの栗の花の匂いがするモコ」
「……き、気のせいじゃないか?」


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