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木質の偽造ペレット工場

東方の二次創作SSです。いぢめ・グロ注意

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神聖モコモコ王国 番外編


この日、王国には妹紅と慧音の二人がいた。他の二人は橙のいるマヨヒガに行っていた

「静粛に」
妹紅が立ち上がり、手を上に挙げる
「ん?」
慧音は部屋を見渡してから、妹紅を見上げた
「私達だけだが?」
「静粛にっ!!」
「うるさい」

慧音はとりあえず話を聞くことにした

「これからバトル路線に転向するモコ」
「言ってる意味がわからないんだが」
「バトル路線なら、普段は死なないやつが死ぬ展開が目白押しモコ」
「毎回死んでるじゃないか、主に妹紅が」

妹紅が地団太を踏み始めたので慧音はなだめた

「一人一人と死んでいく仲間と敵幹部。そして最後に妹紅と輝夜の一騎打ち。なぜか爆発して崩壊を始める永遠亭
 その中で不死者の終わらない戦いが繰り広げられていると、なんかのイベントが発生して、蓬莱人でも死ぬアイテムが地面から・・・」
「そんなことはいいから飯を食え。机が片付かない」
「とりあえず、プロットを考えたモコ。慧音からOKが出たら今後はこの路線で国を運営していきたいモコ」
「プロットとか何がしたんだお前は?」
汚い字が延々と書かれた紙を慧音に渡す
「少年誌でお馴染みの、出てくる敵がどんどん強くなるインフレを取り入れてみたモコ」

タイトルに『焼き鳥屋モコちゃん 細腕豪腕繁盛記』と書かれていた

「なんで焼き鳥屋なんだ? 戦わないのか?」
「焼き鳥が食べたいと思いながら書いてたらそうなったモコ」


―――――【焼き鳥屋もこちゃん 細腕豪腕繁盛記】―――――

あらすじ

小さな商店街で闇にまぎれて焼き鳥屋を営む藤原妹紅(愛称もこちゃん)
そんなもこちゃんの隣に、大型チェーンの焼き鳥屋が建設されてしまう
チェーン店の雇われ店長と喧々囂々の末
「負けた方が店を畳む」という条件で、料理対決が始まった
ルールは金的、噛み付き、凶器以外はなんでもありの無制限一本勝負

結果
  ○もこちゃん―雇われ店長×
  (1分3秒 決め技:ロメロスペシャル)


しかし、戦いはそれでは終わらなかった
次に彼女の前にやってきたのは、隣町の商店街の会長(元焼き鳥屋)
「負けた方の商店街を永久封鎖する」という前回よりも大きくなった条件で、料理対決が始まった
ルールは金的、噛み付き、凶器以外はなんでもありの無制限一本勝負

結果
  ○もこちゃん―商店街の会長×
  (2分9秒 決め技:ボー・アンド・アロー)

それでも、戦いはまだ終わらなかった
次に彼女の前にやってきたのは、隣町の町長(元焼き鳥屋)
「負けたら方の町が吸収合併される」という前回よりもさらに大きくなった条件で、料理対決が始まった
ルールは金的、噛み付き、凶器以外はなんでもありの無制限一本勝負

結果
  ○もこちゃん―隣町の町長×
(3分15秒 決め技:カナディアン・バックブリーカー)


もこちゃんの戦いは続く
県の存亡をかけて県議会議員(元焼き鳥屋)と
日本の将来をかけて総理大臣(元焼き鳥屋)と
アジア平定をかけて国際連合の長(元焼き鳥屋)と
世界をかけてアメリカ合衆国大統領(元焼き鳥屋)と
世界平和のため世界を裏で牛耳るマフィアのボス(元焼き鳥屋)と
地球の存在をかけてアトラック・ナチャ(元焼き鳥屋)と
銀河をかけてクトゥルー(元焼き鳥屋)と
未来をかけて平行世界の未来人(元焼き鳥屋)と

それでもまだ。もこちゃんが戦いの輪廻から抜け出すことは出来ないのだ



―――――【焼き鳥屋もこちゃん 細腕豪腕繁盛記】―――――


「輝夜はおろか、私たちすら出てないが?」
「出すタイミングを完全に見失ってしまったモコ。敵の激しいパワーインフレのせいだモコ」
「しかも最初にお前が言ってた内容と1つも一致してないぞ。あとこの紙を誰かに見せてないだろうな?」





午後、慧音は寺子屋の準備で家を出ていったため一人で留守番をすることになった

妹紅は一人で輝夜抹殺の方法を考え始めた
「ロックマンに出てくる触れたら即死の『トゲ』が欲しいモコ」
畳みの上に寝転がり、足をパタパタしながら紙にペンを走らせる
「そのトゲが手に入ったら、輝夜にブッ刺して永遠にティウンティウンティウンさせてやれるモコ。問題はそれをどうやって妹紅が持ち上げるか」
紙の上に自分の想像を描く。トゲに囲まれた輝夜の絵を書いていく
「トゲが量産化されたあかつきには、永遠亭などあっというまに叩いてみせるモコ」


そんなとき、一人の来訪者が現れた

「もし。藤原妹紅という不死者がいるのがここだと聞いたのだが相違ないか?」
白髪の老人だった
「そうだけど、ジジイ誰モコ?」
「某、魂魄妖忌と申す」
「いったい何用モコか? 家への帰り方がわかんねーモコか?」
「そうではない。此度、そなたに頼みたいことがある」
「とりあえず入国しろモコ」
慧音から「知らない人を家に上げるな」といわれていたが、すっかり忘れていた


姿勢を正して、妹紅を真っ直ぐに見た。このとき、なぜか右手は袖の外に出さなかった
「どうか、儂の孫。魂魄妖夢を連れ戻すのを手伝ってほしいのだ」
「わかるように話せモコ」
「少し長くなるがよろしいか?」
「じゃあトイレ行ってくるモコ」
「それは普段どおりの日常じゃった」
「勝手に始めてんじゃねぇモコ」


~~~~~~~~~

白玉楼
玄関で靴を履く主人と出くわした妖夢
「幽々子様、どちらへ?」
「ええ、ちょっと人間の里に届け物があるの」
手に持つ包みを揺らせてみせた
「里までは結構な距離じゃないですか?」
「いいのよ。どうせ今日は暇だか・・・」
「それでしたら私にお申し付けくださいっ」
幽々子の言葉を遮り、奪うようにそれを幽々子から包みを取り上げる
「里のどなたですか?」
「えっと・・・・呉服屋にだけれど」
「わかりました。ではっ」
勢い良く、玄関を飛び出した
「ちょっと~妖夢~~~? まったくもう」
幽々子が呆れた顔をする頃には、すでに門をくぐり階段を駆け下りていた

最近、妖夢はことあるごとに人里へと出向いていた

「やっぱりあの噂は本当だったのかしら?」

――『こないだ。妖夢が里の男の子と手を繋いで歩いてたわ。けっこう良い男だったわよ』
   この間、知り合いがそう言ってきた
――『うっそ』
――『お年頃の女の子。こんな霊魂しか漂ってない場所で灰色の青春時代を過ごさせては可哀想よ』
――『そうだけど』

幽々子が妖夢に対して抱く、ほんの僅かな保護者精神がちくりと痛んだ


噂は本当だった
冥界の庭師は里の青年に恋をした
きっかけはささいなコト
里でのお使いを済ませた帰り、ちょうど雨が降ってきて傘を持たない彼女は途方に暮れていた
木の下で雨宿りしていると里の青年が通りかかった。青年は「自分の家は近くだから」と言って彼女に傘を譲った。雨に濡れるのも気にせず彼は走り去って行った
青年の顔立ちはお世辞にも恰好が良いとは言えなかったが、どこか誠実さを感じるものがあった
もう一度、彼と話をしたいと妖夢は思った
後日、少ない手がかりを頼りになんとか青年を探し、傘を返すことが出来た
その際、お礼と称して甘味処に誘った
この誘いはこれまで異性と触れ合う機会の少なかった彼女にとって、大きな勇気を必要とした
甘味に舌鼓を打ちながら名を聞き、趣味を聞き、家族の話を聞いた
それから何度も会うようになり、二人の距離は少しずつ縮まっていった



~~~~~~~~~


「その話まだ続くモコか?」
「うむ。ここからが本題じゃ」
「便所に行きたいモコ」
「すぐに済む故、最後まで聞いていただきたい」


~~~~~~~~~

妖夢と青年が恋仲になったのは出会ってから二ヶ月後のことだった

正式に付き合いだしてしばらくたったころ。青年が行方不明になった

薪を取りに森に入ったきり行方がわからなくなったのだ
その森は里の人間が木質資源を安定して得るために、博麗の巫女が妖怪の侵入の一切を禁じた、妖怪避けの結界が施される里で最も安全な森だった
里の人間が結成した捜索隊とは別行動で妖夢も必死になって探した

そして妖夢は青年は見つけた。変わり果てた姿の彼を
仰向けに倒れた腹が切り裂かれ、まるで「窮屈だった」と言わんばかりにはらわたが大きく飛び出し
顎から下が抉られ、開けっ放しになった喉からは血の泡が溜まり
両手、両足、背中といった、肉つきの良い部分はごっそりと欠損していた

彼は襲われ、喰われていた
その光景を目の当たりにして、妖夢は放心して膝をついた
どこを見ているのかわからない精気の無いうっすら湿った目に妖夢の顔が映りこむ
蝋人形のように顔からは表情が消え、口はポカンと開き、舌が意思とは関係なくチロチロと動く
青年の死体についた目と今の彼女の目は酷似していた
ただ違う点があるとすれば涙腺から無尽蔵に液体が滲み出てくるということ
「え、・・ぁ、う・・・な」
うまく言葉を発することが出来なかった。口はちゃんと動くのに、声帯を震わせることが出来ない。息が出来ない

青年の死体は血の乾き具合からして、まだ襲われて半日も経っていないのだが、今の妖夢がそこまで頭が回ることはない

放心状態の彼女の背後で草木が揺れ、足音が聞こえた
その音に本能が反応して、無意識に首を回した
「ッ!!」
それを目にしたとき、妖夢の目に精気が戻る
現れたのは太い腕を持つ二足歩行の妖怪。手から鋭い爪が伸びていた
毛むくじゃらの容姿から、この森で暮らす野生の熊が妖怪に変異したのだとわかった。だから結界のある森の中にいるのだろうと推測できた
「お前か?」
先ほどまでろくに声を発せ無かったのに、その言葉は簡単に紡げた
言葉が通じるほどの知性はないようで、妖夢の問いを無視して腹を爪でボリボリと掻いた
その爪には彼の衣服の切れ端が引っかかっていた
「貴様かァァァァァァァァァァ!!」
持参していた二刀の一振り、楼観剣を抜き鞘と白楼剣を乱暴に投げ捨てて、怒りに任せて化け物熊に突っ込んだ
刃を水平に寝かせて放った妖夢の刺突は熊の脇腹に深々と突き刺さった
このまま刀を横なぎに一閃すれば勝負は決するはずだった
普段の妖夢ならそれが出来た
「ぁぁっ!?」
熊の腹に刺さった刀はピクリとも動かなかった
理由は二つ。一つ目は怒りに任せて深く刺し込みすぎたということ。それで刃が熊の筋肉にガッチリと締め付けられていた
二つ目は、青年の死からまだ立ち直っていなかったこと。膝が笑っていて、いつもの力が掛からない

刀が動かずにあせったその一瞬で、立場が逆転した

「おぐぅッ!!」

太い腕が妖夢をなぎ払った
岩さえ削る一撃をまともに受け、妖夢は何度も跳ねて長い距離を転がってから、ようやく木にぶつかって止まった
体勢を立て直すため、立ち上がろうとしたその時
「ごふっ」
腹に鉛球がぶち当たるような衝撃を受けて悶絶する。熊が何かを飛ばしてきたのだ
「きさ・・・・ヒィ!!」
それを見て妖夢は小さく息を吸った。投げつけられたのは青年の首だった。死体の顔を殴ってここまで飛ばしてきたのだ
ショックを受けたその隙に熊は距離を一気に詰めて、両手で妖夢を押さえつける
「ぐぐぅ」
熊の体重で体中の骨が軋んだ。しかし、痛みよりも恋人を殺された怒りのほうが勝っていた
(殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!)
押さえつけられているのは自分だけで、半霊は自由だった
その半霊を人の姿に変えてもう一本あった白楼剣を拾い抜刀させて後ろから斬りかかる
「死ね!!」
放った渾身の太刀は熊の背中の毛を剪定するに留まった
「そんな・・・」
実体を持たない半霊の力は生身より劣っていたのに加え、予想以上に熊の背中が堅かった
振り向きざまに放った腕が半霊を吹き飛ばしてそのまま木に叩きつけた
(畜生)
妖夢は悔しさで唇を噛んだ
このまま自分も餌になることを覚悟した
しかし、熊はいっこうに噛み付いてこない
「ハァッハァッハァッハァッハァッハァッハァッ」
「?」
このとき、熊の息遣いがおかしいのに感じた
「なぁ!!」
熊の下半身のモノが大きくいきり立っていた。妖夢が出す雌の匂いに雄の本能が反応していた
肥大した熊の生殖器がゆっくりと妖夢に近づいてくる
「や、やめろ・・・やめろ!」
体力を無駄に消耗するだけだとわかっていても。抵抗することをやめない
熊の歯が妖夢の服の端を咥えて、一枚一枚破り捨ててくる
何者にも侵されたことのない箇所があらわになる
一切の準備も無く、妖夢の中に異物が刺し込まれた
「ギィイイィィィィイイィイイイ!!!」
肉壁が無理矢理こじ開けられて、熊が腰を動かすたびに血が派手に流れ出た
痛みで失禁し、頭の神経が焼ききれるような頭痛に苛まれて嘔吐する
それでもお構い無しに熊はカクカクカクと小刻みに腰を振る
妖夢が気をやるそうになると熊は乳房に噛み付いて、強引に意識を引き戻した
熊が快感を求めるたびに、妖夢の体に傷が増えてゆく
うめき声と、獣の下卑た息遣い。様々なものが混ざった生臭い空気があたりに充満する
ここから妖夢が逆転するには絶望的な状況だった


最初の時点で冷静さを取り戻し慎重に対処していたら、こんな下級の妖怪になど楽に勝てているはずだった
感情を制御を出来ない彼女を、きっと師は「半人前」と叱るだろう。だが妖夢は後悔していなかった
簡単に怒りを鎮められるほど自分が彼に抱いていた感情はそんな安っぽいものでない
この敗北は彼への愛情が何よりも強かった結果なのだ
純潔を捧げるはずだった相手を奪われた今、それが妖夢の心に残った唯一の誇りだった
相手の方が自分より強かった。それで納得がいった。この想いを持ったまま彼と同じところに行けるのならそれで良かった
ただ一つ心残りがあるとしたら
(みだいでください・・・・どうかみだいでぐだざい)
顔を横に向けると青年の首とまた目があった
愛する者の目の前で強姦される自分
「ごろぜぇ、もう、ひとおもいに゛、ごろぜぇぇ」
そんな自分の姿を一秒でも長く見せたくなかった

その後。駆けつけた捜索隊によって妖怪熊は追い払われ、妖夢は保護され、青年の死体は手厚く葬られた


~~~~~~~~~


「まだモコか? 膀胱とか腸とか痛いモコ」
「あと少しじゃ、しばし待たれよ」
(このスカトロジジィ)


~~~~~~~~~


妖夢と青年を襲った妖怪熊は、後日、里の人間達によって退治された
重症を負った彼女は里の診療所で入院することになった
しばらく寝たきりの状態が続き、傷が癒えて意識を取り戻して体が動かせるようになるまで一ヶ月ほどかかった
これなら白玉楼に帰って養生できるだろうと医者が判断し、最後の精密検査をした際、医者は飛び上がった

妖夢は妊娠していた

「私とあの人の子です」
帰って来た妖夢は嬉しそうに幽々子にそのことを告げた
「あの獣の子よ。悲しいけれど堕ろしましょう。ね、妖夢?」
刺激しないように注意しながら、幽々子は何度も説得した
だが妖夢は聞く耳を貸さなかった。「私たちの子です」の一点張りだった
このときから妖夢はすでにおかしくなっていた

部屋に篭り、日に日に大きくなるお腹を愛おしそうに撫でて毎日話しかけた

それから一月の早さで臨月を迎えた
生まれたのは人の姿をしていなかった
それを見た妖夢は発狂・気絶し、子供はその場で殺して墓を建てて埋めた

それから数日後に妖夢は白玉楼から姿を消した。名刀の二振りと共に


~~~~~~~~~


「それから儂の元に幽々子様から妖夢がいなくなったと知らせが来た。その数日後、件(くだん)の森で怪しい人影を見たと聞き、もしやと思い駆けつけると・・・」
「お前もうしゃべんなモコ! 便所いかせろモコ!!」
話を遮って、妹紅はトイレにかけこんだ
5分ほどして戻ってきた
「危なかったモコ。えーと、どこまで聞いたモコか?」
「孫の妖夢と里の青年が出会ってだな、それから二人は交際を重ねて」
妖忌がまた最初から話しそうな雰囲気だったので妹紅は切れた
「いい加減にしろモコ。ジジィは長話ばっかしやがってモコ。用件を3行、いや3語でまとめろモコ!」
しばらく考えてから妖忌は口を開いた

「まご、いかれた 、つれてかえりたい」
「やりゃ出来るじゃねぇかモコ」



「森で見つけた妖夢はまさに幽鬼のごとく、連れて帰ろうと立ち合ってみたが・・・」
妖忌は妹紅の前に刀を一本置いた
「楼観剣だ。なんとかこの一振りを取り返した」
そして右の袖をまくって見せた。腕にはギブスが巻かれ胸の前で固定されている
「その代償がこれだ。気の触れた孫の白楼剣の太刀筋は全く読めない、迷い無き剣の切れ味は鉄すら絶つ」
妖夢は今もなお、あの森を彷徨っている。死んだ青年を探しているのか、仇を探しているのかはわからない

「お主ほどの実力者なら、必ずや孫を連れて帰ってくれると思い。依頼しに来たのだ」
不死者の妹紅なら死ぬことが無いため、他の者に比べて依頼しやすかったということもある
「一線を退き節制する霊居の身ではあるが。それ相応の見返り約束する」
「生え際が一線を退いて、髪の毛まで節約するジジイには悪いが断るモコ」
妖忌の頭を凝視しながら妹紅は言った
「確かに痛みを伴う依頼だ、怖気づいたか?」
「違うモコ」
少しだけ妹紅は不機嫌な顔をした
「てめーんトコの主人と孫が以前、輝夜の刺客として妹紅を殺しに来たモコよ。そんな奴等に手助けする義理ないモコ」
「そのようなことが?」
永遠亭が起こした終わらない夜の異変のあと、竹林で輝夜が主催した肝試しのことを妹紅は言っている
「二対一でフルモッコにされたモコ、斬られて撃たれて何回死んだと思ってるモコか?」
そのことを妹紅はまだ水に流したわけではなかった。頬をぷくりと震わせてそっぽを向く
「では、こうせぬか?」
「モコ?」
老獪な武士は妹紅の単純さを逆手に取ることにした
「儂とお主で組んで二対一で孫を倒す。それで痛み分けにならぬか? お主の仕返しの手伝いをしてしんぜよう」
「モコゥ・・・」
妹紅は腕を組んで考え始めた
「まあ輝夜の手先は一日でも早く潰しておきたいモコ」
「ウム。そうこなくては」
見返り無しで名刀を持った狂人と戦わされる
仕返しが出来るが、自分にとってもの凄く不利益なことに妹紅は気付かない
(すまぬ。だが報酬は約束する)
騙したような気がして、心の中で少女に詫びた







件の森までやってきた二人
歩いていると兎の死体を見つけた
「この刀傷、それに血も乾いて間もない」
妖忌が死体の入念に調べる
「なんか木の先があっちこっち切られてるモコ」
妹紅が指差した先、まるで草木を剪定するように枝の先が切られて地面に落ちていた
「これを追えば、妖夢にたどり着けるはず」
5分ほど歩くと、人影を見つけた
「みらいえいごうざ~~ん」
足を斬られて倒れて動けなくなったイノシシの頭に刀を突き立てる妖夢の姿だった
妖夢の口元には乾いた血がべったりと付いていた
「■■さーん。■■さーん。どこにいるのですか~~。へんじしてくださーーい」
ひとしきり辺りに声を発した後、妖夢はイノシシの死体から血をすすりはじめた
血で喉を潤したあと、刀でイノシシのモモ肉を切り取った
「■■さんは、きっとあしをけがしてうごけないんです。おなかをすかせているはずです」
大きな独り言のあと刀納し、切り取ったモモ肉をポケットの中にそのまま突っ込んだ
「あいつやべェモコ。完全にイカれてるモコ」
「ん~~~?」
その声で妖夢は妹紅の方を向いた
「ああ、またどうぶつです。■■さんをおそうかもしれません。かわいそうですが、ここでころしてしまいましょう」
笑いながら妹紅たちに近づいてくる
「うおっ! 来たモコ! しかしこっちは二人」
横を見る、そこには誰もいなかった
「ちょ! おじいちゃん!! 迷子になったモコか!!? おィィ! これからツートップでやってイこうってときにぃ!!」
「げんせーざーーん」
軽くステップを踏み、居合いの要領で抜刀した妖夢。振り抜かれた剣先が妹紅の首筋を目指す
間の伸びた声、しかもにやけた顔で放った割りにその太刀筋は本物だった
「あぶねぇ!!」
目一杯体を仰け反らせ回避する妹紅。首の6cm手前を死線が通過する
(普段、隠れてジョジョ立ちの練習をしていたのがこんなところで役にたつとは・・・)
妖夢は大振りだったため、刀の勢いに負けて妹紅に背に向けていた
その無防備な背中に殴りかかるべく拳をあげる
「オラァモコォ!」
しかし妹紅が腕の間合いに入った瞬間、妖夢は後蹴りで牽制してきた
「うおっと」
妹紅が腕を交差させて蹴りを防いだ隙に妖夢は体勢を立て直して。刀を上段に構えた
「とうかーせんせーん」
頭をカチ割る軌道で刃が迫る
「どわあああ」
垂直に叩き込まれた刀を横っ飛びで回避する
そのまま地面に手をつき体をねじり腕をバネにしてハンドスプリングの要領で着地しようとする

が、

「モコ?」
妹紅は完璧に着地できたと思った。しかし地面に足がついた瞬間に妹紅はバランスを崩して尻餅をついた
足を見ると右足の甲から先が無かった。不思議と痛みは感じない
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああ!!」
「めーそーざーーん」
「ぎゃぐっ」
絶叫の途中、妖夢に心臓を貫かれた



「リザレクション!!」
目を開けた妹紅が最初に見たのは、自分の生首を持ってその断面から血を飲む妖夢だった
「てめぇコラ、いますぐ1機アップアイテムみたいになった妹紅の首を離しやがれモコ!」
「?」
妖夢は手に持つ首と、目の前にいる動物の顔を交互に見比べた
「またどうぶつが、このもりはきけんですね」
「危険なのはお前の頭モコよ」
柄を逆手の握りに替える
「えんしんるーてんざーーん」
地面を切り、下から上に向かい剣が振りあげる
「伊達に数百年間も妖怪退治してねーモコよ!!」
妹紅は右足を引いて体を時計廻りで回転させ刀を避けた。その動作は上段の回し蹴りに転じるためでもある
「モコラァ!」
振り上げきった妖夢の手に妹紅の踵がぶつかった
「ぐっ」
初めて一撃を入れた
「まだまだぁ!」
自分の得意な間合い、妖夢の懐に入り込む
右手で妖夢の刀を握る手を制しつつ、左手で素早く顔に3発打ち込む
「モコモコモコッ!!」
しかし妖夢は首を左右に素早く振ってかわした
「なっ!?」
「でぇい!!」
驚愕する妹紅の腹に妖夢の肘がめり込む。剣を持ったときに使う当て技の一つである。この時、妖夢は妹紅の足も踏んでいた
「うぉ」
バランスを崩し再び尻餅をついた妹紅の心臓を貫くべく、妖夢は刺突の構えを取る
妖夢の顔からは笑みが消えていた
「らぁ!!」
威力、速さ、間、どれも完璧なタイミングだった
しかし、斬った手ごたえを感じない
「うわああああああああああああああああああ、なんか『できるかな?』って思ったらホントに出来たあああああ!!」
白楼剣の先を妹紅は白羽取りしていた。それをやってのけた本人も驚いていた
「はああぁ」
妖夢はヘソの下に力をかけながら、刀に全体重を預けた
刺されまいと妹紅も手に力を込め続ける
「やべぇ! これメチャクチャ胸筋つかうモコ!!」
少しずつ、剣の先が妹紅の心臓に近づく
「心臓はカンベンしてくれモコ! ココすんごく痛いモコ!!」
相手は聞く耳を持たず、奥歯をギリギリと噛み締めて刀を押し込んでくる
「こうなったら・・・」
妹紅は大きく息を吸った
「モコフレイム!!」
体内で精製された炎を吐き出した
「うわあああああああああああああああああああ、またなんか『できるかな?』って思ったらホントに出来たあああああ!!」
自分の可能性を信じずにはいられない日である
「くっ!!」
突然の炎に驚き妖夢は体を引いた
それによって白羽取りの状況から脱出した
「腹パンマン、新しい顔モコ!!」
怯んでいる妖夢の腹目掛けて、自分の首を拾い投げつけた。弾幕を撃つよりもこちらのほうが手っ取り早かった
「ごふぅ」
腹に命中し妖夢は悶絶する。痛みで俯き真下の地面を見ると妹紅の首と目があった

失敗した刺突
投げつけられた生首

妖夢の脳裏にあの日の光景が浮かぶ
「いやアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああああああああああああ
 アアアアアアアアアアアアアアあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアア!!!」
刀を捨てて両手で頭を抱えた
「どうしたモコ?」
妹紅が近づくと、鬼のような形相で睨んできた
「ころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころす」
「怖ッ!」
妹紅は逃げようと体を反転する
「にがすかあああ!!」
右手で刀を拾った妖夢は、体を限界まで伸ばし地面に寝そべる体勢で刀を横薙ぎに一閃。逃げ去ろうとする妹紅の足を掠めた
「うごアッ!」
倒れた妹紅の背中目掛けて刀を両手で持ち振りかぶる
「しねぇ!!」
次の瞬間、妹紅の体は真っ赤に染まった





「モコ?」
何時まで待ってもやってこない痛覚を不思議に思い、振り向く
両手首から先がなくなり、その断面を放心状態で見ている妖夢の姿があった
妖夢の後ろには刀を握ったままの左右の手が落ちている
「許せ」
妖夢の隣には楼観剣を持つ妖忌。ずっと必勝の機会を伺い、木の上で息を潜めていた
「今が好機。妹紅殿」
その言葉を聞き、妹紅は立ち上がり握りこぶしを作った
両手に紅蓮の炎を纏わせる
「モコォ!」
「ぅ゛ぉ゛!!」
拳が相手の顔にめり込む。さらに打ち続ける

「モコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコ!!」

右、左、右、左、今までの恨みを晴らすようにラッシュする

「FUJRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」

相手が倒れるよりも速く次の手を。連打は止まらない

「モコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコモコ!!」

拳を一瞬止め、腕を引き絞り力を貯め、とどめを繰り出す

   モコ・ライア
「 Moccolaia(焦げつけ)!!」



最後の一撃を受け、きり揉み回転しながら吹き飛んだ。妖忌が

「ジジイ、てめぇ何処をほっつき歩いてやがったモコか!! メチャクチャ苦労したモコよ!!」
飛ばされ木にぶち当たった老人を怒鳴った。今までのラッシュはすべて妖忌が食らっていた

蚊帳の外の妖夢は呆然と自分の手を見つめたままだった
心臓の鼓動に合わせて溢れる血
脈が8回うったとき妖夢の顔は真っ青になり、意識が崩れ落ちた











それから月日は流れる



白玉楼の門前
「幽々子さま、どちらへ?」
箒を掃く手を止めて尋ねた
「ええ。ちょっと人里に」
「お気をつけて」
「一緒に来る?」
「お気遣いありがとうございます、けれど掃除がありますし」
「そう」
妖夢の手に残る痛々しい縫い後を見て幽々子は俯いた


手を切断された後、出血多量で気絶して医者に運ばれた
妖忌の太刀筋があまりにも綺麗すぎて。手はなんともないようにくっ付いた、しばらくリハビリを続ければ剣の修行を再開できるらしい
目を覚ました妖夢は幸か不幸かすべてを忘れていた
正気に戻っており。仕草も態度も、普段どおりの彼女である
妖夢本人は、自分は事故に巻き込まれて大怪我を負い、その衝撃で記憶が抜けているのだと思い込んでいた
幽々子も周りもそれに合わせて嘘をついた


妖夢を騙す形にはなるが、変わらぬ日常が戻った
幽々子はそれが堪らなく嬉しかった
「そういえば。今日、夕方から雨が降るみたいですよ」
「あらそうなの?」
二人は空に浮かぶ雲を見上げた
「じゃあ傘を持ってこないと」
「持ってきますね」
箒を門に立てかけて、自発的に妖夢は取りに行った
すぐに傘を持って戻ってくる

「お待たせしました」
傘を主人に差し出すが、幽々子は妖夢の顔を見たままで、受け取ろうとしない
「どうかしましたか?」
「どうかしたのは妖夢のほうよ?」
「へ?」
妖夢の両目から涙が滴っていた。言われるまで気付かなかった
「あれ、どうして。私、泣いて・・・あれ?」
傘を見ていると、胸がチクチクと痛んだ
止めようとすればするほど、涙の量は増えていく
「変ですね。私、これっぽちも、悲しくないのに」
幽々子は傘を持つ手にそっと自分の手を重ねる
「しばらく泣いておきなさい」
「しかし」
「いいわね?」
母親のような優しい表情だった
「・・・・はい」
戸惑ってから頷いた

何かを洗い流すように、妖夢の涙は零れ続けた













里の診療所
「おいジジイ」
「なんじゃ?」
「報酬払えモコ。慧音にあのこと話したら『それは報酬貰わないと駄目だろ』って言ってたモコ」
「儂をこんな体にしておいてか?」
妹紅のラッシュを食らった妖忌は入院して、今は布団の上だった。昨日ようやく流動食の生活が終わった
「うるせーモコ。汚ぇ話術で妹紅をハメやがってからに」
「知らん」
妖忌は妹紅に背を向けた
「テメぇコラ、一生ナースコール押せない体にしてやるモコよ」

もうバトル路線はコリゴリだと感じる妹紅だった
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  • 2011/11/23(水) 21:28:37 |
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